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9月 私は泣かない、屈さない~厚生労働省女性キャリア幽囚163日

(著者)村木厚子(元厚労省雇用均等・児童家庭局長)、(取材・構成)江川紹子(ジャーナリスト)
                                      *文藝春秋2010年10月号
<きっかけ>
・元局長の無罪判決の出た(出る予定の)日に絶妙のタイミングで発売されたため、即購入。憤りと御苦労はいかばかりであったかと思うが、比較的冷静な手記であることに驚く。無罪への確信と人格のなせるわざか。
・事件のスジは異なるが、先日も鈴木宗男議員の後味の悪い有罪確定があったばかりだ。「国策捜査」という絶妙のネーミングで検察捜査の恐ろしさの一端を世間に知らせてくれたが、結局有罪にできる事件を立件されてしまった。今回はそれさえできないほどずさんなものだったということか。何が真実だったかということはわからないが、それにしても、このような巨大な権力が、見える化もされず、また、制度的に結果責任もとらなくてよいまま存在し続けられると言うことは実に恐ろしいことだと思う。
<印象に残ったところ>
・「疑惑報道がひどくなってくると、国会では、疑惑の局長の答弁は受けられないと言う先生が出てくる」いつもながらの光景であるが、このことについて、当時のマスコミ人たちや議員の方々はどう考えるのか、本当はちゃんと総括しなければならないのだと思う。もっと言えば、その応援団となっていた(移ろいやすい)世論や自分自身も含めて。
・「調書の中で、後々一つでも事実に反することが分かれば私は嘘をついているという実績が作られてしまうので、少しでも記憶と違う調書にはサインしないことにした」「担当弁護士に、どうしてみんなこんなに嘘をつくのだろうと嘆いたとき、弁護士から、嘘をつくのではなく、検事が自分の好きな調書をまず作ってしまい、そこから交渉が始まるのだ、調書とはそういうものだ、と言われた」本日のテレビ番組に登場した人は、長時間の取り調べでどうでもなれという気持ちになりサインしたが、法廷ではそれを否認したとのこと。でも普通の人間にどこまでそれができるかと考えると恐ろしい。
・「検事から、執行猶予がつけば大したことないと言われ、我々と検事のモノサシのあまりに違いに驚き、泣いて抗議した。検事出身の弁護士にも同じようなことを言われたが、検事の職業病のようなものかもしれない」
・「担当検事は思いこみの激しい人で、キャリアとノンキャリアは常に対立している、役所は議員案件に弱い(優遇する)、議員が紹介してくる団体はろくなものではないなど」
・「当初の検察のストーリーは、村木が自立支援法をスムースに成立させるために不正をしたというものだったが、時間的につじつまが合わなくなり、途中から変えた。それに合わせ、当初のストーリーに沿って作成した上司や部下の調書を作り直していた」
・「拘置所には冷房がなく大変だったが、看守(女性専用棟だから全員女性)も常に制服、3交代勤務で同じように大変だと思った」「拘置所は普通に権利主張できる所ではないと分かっていたので、ルールに従い、職員が困らないようにしながら、自分も不愉快な思いをしないよう割り切っていたので、わりと快適に過ごせた」「本は163日で150冊読んだ」
・「これまでやってきた仕事で印象深いのは障害者のトライアル雇用制度の創設(99年)、当初省内からも反対されたが、結局8割以上の障害者が正規雇用になるまでになった。敷居を低くしたこと、手続を簡単にしたことが好評だった」「自立支援法の際の障害者団体等との話し合いは、先方が終わろうと言うまで何時間でもやった」
・「拘置所にいる間70人くらいの方が面会にきてくれ、500通くらいの励ましの手紙をいただいた」「保釈された後、迷惑をかけた娘のお弁当作りなどをしようと思っていたが、長い拘置生活の肉体面、精神面への影響はあまりに大きかった。駅の階段も一気に上がれないくらい足が弱り、マスコミが怖くて買い物にも行けないなど」「裁判を戦うのは大変。気持ちが折れない、健康で体力が続く、いい弁護団に恵まれる、自分の生活と弁護費用をまかなえる経済力がある、家族の理解と協力を得られるという5つの条件に恵まれる幸運が必要」「検察が予断を待たず、冷静、丁寧、徹底した捜査をしていればこのような間違いは起こらなかった。そういう捜査をしてほしいし、間違いがあったらすぐに軌道修正できる組織であってほしい」「無罪判決が出たら、控訴せずに、どうしてこうなったか自己検証してほしい」「取り調べのときに事実に反する調書にサインした人たちは恨まない。マスコミであれだけ情報を流されれば、事件の構図がそうなのかと思ってしまう」等々
<感想>
・すごい人だと思う。それにしても、検察のみならず、マスコミや議員たちにあのような行動をとらせたのは、やはり私たち国民の質の低さなのか(←「「私」時代のデモクラシー」)
・それと、「硫黄島、栗林中将の最後」で、硫黄島の生き残りの参謀が、後年ことさらに栗林中将の最後を悪し様に言うエピソードが出てきたが、そのとき、人間というものは、たとえそれが間違った記憶でも、自分自身が誇りを持って(一貫した人間として)生きていくためには、正しいものと信じ込んでしまう面があるということを感じたが、今回、嘘の調書を裁判で否定した人はともかく、それ以外の人の人格が歪んでしまわないか心配である。
・つくづく権力を持っている公務員(という自覚のない人もいるが)やマスコミ関係者は、自己に与えられた権力、力の重さに常におそれを抱きながら仕事をしなければならないということを痛感した。以上

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2010年09月11日 | 法律、ルール | こめんと 0件 | とらば 0件 | とっぷ

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