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11月 貧困2冊(「若者を襲う貧困」「子どもの貧困」)

(著者等)「若者を襲う貧困~高校中退者の今、未来」(ビッグイシュー10年10月15日号特集)
     「子どもの貧困~日本の不公平を考える」(阿部彩、岩波新書)*08年11月20日第1刷発行
<契機>
 ビッグイシューの先月号で高校中退者の問題が特集され、そこで「基礎教育は人間を脅かすほとんどの危険に対し、強力な予防効果がある」というアマルティア・センの言葉が紹介されていた。その通りだと思う。でもその前に、現状とあるべき姿について皆で共通認識を持つ必要があるのだろう。そこで、貧困家庭に育つ子どもの問題を広く世に知らしめた名著「子どもの貧困」も再読した。著者は「生活保護の経済分析」で日経・経済図書文化賞を受賞された方
<若者を襲う貧困>
 「高校中退者は毎年10万人、問題を起こしてやめるケースは多くなく、仲間がやめると落ち葉が散るように次々とやめていく、小学校低学年程度の学力にとどまっていることが多い、年収200万円程度の貧困家庭の生徒が多い、中退者の多い西日本のある高校ではクラスの女子生徒全員がひとり親家庭という例もあった、文科省の発表する中退率は実質の1/3(05年入学者の非卒業率(中退率とほぼイコール)は8.3%だが、文科省算定式の中退率は2.1%)、学力云々の前に生存を確保してやらなければならない子どもも多い、中退者のほぼ100%が非正規雇用、授業料無償化になってもその他の費用が払えない子どもも多い、教育の世界では結果平等を目指さないといけない」(青砥恭、「ドキュメント高校中退」著者)
 「定時制高校を選択する理由は第一に学力的な問題、第二に深刻な経済問題、家計を援助してほしいと言われている生徒も多い(71人の調査で37人が「親にお金をあげている」)定時制高校は最後のセーフティネットだが、そこからこぼれ落ちる子も多い、就労の単位化など学校と生産活動を結ぶ教育ができないものか」(宮本みち子放送大学教授「若者が社会的弱者に転落する」著者) 
<子どもの貧困>
(1)第1章 貧困世帯に育つと言うこと
  なぜ貧困であることが問題なのか、貧困と学力、健康、虐待、非行等の関係や貧困の連鎖などが豊富な資料で語られる。そして、「貧困の成長への影響の仕方(パス)はまだ十分解明されていないが、鍵はやはり親の所得」
(2)第2章 子どもの貧困を測る
  ・「相対的貧困率が用いられることが多い。OECD定義は手取りの世帯収入を世帯人員で調整し、その中央値の50%ラインを貧困基準とする(EUは50%に代えて60%)」「日本の相対的貧困線はほぼ生活保護基準に近い(これはそのように設定しているから当然)」
  ・「日本の子どもの貧困率は約15%、アメリカなどより低いが、ヨーロッパなどより高い」「母子世帯の貧困率が突出して高い(66%)、0~2歳の子ども、若い父親、多子世帯の貧困率が高い」
(3)第3章 だれのための政策か~政府の対策を検証する(注;政権交代前の刊行)
  ・「日本の家族関連の社会支出は少ないがそれだけを問題にするのは乱暴、家族政策の多くは子どもの貧困の削減を目的としていない、生活保護や雇用政策がそれを担っている」「日本の特徴;児童手当は「広く薄く」、母子関連手当は縮小、保育所は充実しつつ不十分、生保は運用厳しく子どもの保護率は1%」
  ・そして、その後広く引用されることとなった有名な指摘「国際比較で日本は唯一、再分配後の所得の(子どもの)貧困率の方が、再分配前の貧困率より高い、つまり、社会保障制度や税制度によって日本の子どもの貧困率は悪化しているのだ」「日本の低所得層は、アメリカに比べてさえ所得に不相応な負担を強いられている(その分高所得層の負担が少ない)」「残念ながら日本では政府の防貧機能が発揮されないだけでなく貧困を悪化させている」がなされる。
(4)その後、「第4章 追いつめられる母子世帯の子ども」「第5章 学歴社会と子どもの貧困」で、これまで日本で「子どものための」という視点がないがしろにされてきたことによる子どもの現状が詳細に語られ、脱却を訴える。
(5)第6章 子どもにとっての「必需品」を考える(本書の特色でもある)
  「子ども対策は、社会が全ての子どもに保障すべき最低限の生活は何かという視点で考えるべき(相対的略奪手法)」「子どもの必需品に関する社会の支持は日本では低い(英米で高い「おもちゃ」「スポーツ用品」「新しい、足にあった靴」などは日本では低い)」「このような意識の国では子どもに対する支出が低いのはやむを得ない」「政府も各政党等も、貧相な貧困観を脱却し、社会に直接「この社会の中で暮らす上で最低限必要なものは何か」を問うべき」
(6)第7章 「子ども対策」に向けて
  以上の分析等をふまえて、「少子化対策ではなく子ども対策を」とし、「日本版子どもの貧困ゼロ社会へのステップ」を提案する。「子どもは社会の宝」とはすなわちこういうことだろうし、その際の具体的視点、手法を提供してくれる良書で、今からでも多くの人に読んで欲しい。内容は全く古びていない。以上

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2010年11月10日 | 福祉、雇用 | こめんと 0件 | とらば 0件 | とっぷ

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