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11月 日本の逆を行くイギリスの議会改革

(著者)高見勝利(上智大学法科大学院教授)*岩波書店「世界」10年8月号
<契機>
 有斐閣宣伝誌「書斎の窓」10年11月号巻頭エッセイで、著者が、民主主義に対する管総理の「交代可能な独裁」という認識と仙谷官房長官の「熟議の民主主義」という認識(対極に位置する)を取り上げ、両者とも日本では通用しないが、特に後者は「高貴なる虚言」であると痛烈だが説得力のある批判を展開していたため、その原論文掲載誌を購入
<概要>
・90年代から日本の政治改革論者が理想としてきたウエストミンスター型議院内閣制~小選挙区制による総選挙で二大政党がマニフェストを掲げて覇を競い、過半数議席を獲得した政党の党首が首相となって強いリーダーシップを発揮しマニフェストで示した政策課題を実現する~は、衆議院とほぼ対等の権力を有する参議院が存在し、その選挙結果次第で政権の枠組自体が政局化する日本国憲法下では端からうまくいくはずがない。
・本家イギリスでも、議会制のあり方を根底から問い直されるような動き(地に墜ちた議会・議員への信頼を回復するため、昨年11月に下院改革委員会報告がなされ、それが漸次実施されていること)が見られる。
・改革の主な内容は、政府活動の監視を行う省庁別特別委の委員長や委員を「秘密」投票で選出することであり、根底には、議会が与党と野党の幹部に牛耳られ本来果たすべき政府に対する精査、追及機能が十分行われず、深刻な制度危機に陥っているという認識がある。(政府のプードル犬に堕している現状から脱し、ブルドックに変身する必要がある)
・これは、政府と国会与党の一体化を進める民主党とは真逆の方向である。
・この他、イギリスでは選挙制度自体の改革も進められている。労働党の提案するAV式(選択投票法)は、投票人は順位を付けて全候補者に投票し、定数1のポストで有効投票の過半数の得票者がなかったとき、最下位の候補者に投じられた投票をその第2順位の候補者への投票とする、という作業を繰り返していくもの。ちなみに、昨夏の日本の総選挙の小選挙区では、過半数を得た選挙区が213、得られなかったのが87であった。
・この動きについて、下院議長は講演で、「制度としてのウエストミンスターに静かな革命が進行しつつある」とし、「精査(政府に対し自らの説明責任を果たさせること)こそ下院たるものの絶対的核心である。それゆえ、下院とは精査が行われ、そして極めて重要なことであるが、精査が行われていると国民から見られる場である。これが多くの者から議会が尊敬される上において根源的なものである」
・(以下「書斎の窓」)「「議員は、市民としては賢明なのに、議会の敷居を跨ぐや豹変、党派の指示に追随する中でその体質に染まり、本来無縁であった蛮勇と頑固さを身につけ、所属政党の方針に盲従するプードル犬に過ぎなくなる」というジョナサン・スウィフトのイギリス下院に対する洞察が我が国の国会にも妥当するとすれば(→著者は妥当すると思っている)、国会を熟議の場だとする言は高貴なる虚言と評する外ない」「政治家同士の「熟議」ではなく、政府法案の精査とともに、政党間の政策論争から妥協点を見いだす努力、すなわち調整(法案修正)こそが国会本来の姿である」
<感想>
 「熟議の国会」と言うのが悪い冗談のように聞こえてしまう現在の政治状況の原因と展望をよく捉えた好論文だと思うが、作られた話題や争点に乗せられやすいメディアや私たちの現状から考えると、著者の主張する精査と調整の議会を作っていくのは大変だろうと思ってしまう次第。以上

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2010年11月30日 | 歴史、哲学 | こめんと 0件 | とらば 0件 | とっぷ

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