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12月 諸外国の課税単位と基礎的な人的控除~給付付き税額控除を視野に入れて

(著者)鎌倉治子(国立国会図書館財政金融課)*国立国会図書館「レファレンス」平成21年11月号
    *他に「給付付き税額控除具体案の提言~バラマキではない「強い社会保障」実現に向けて」(東京財団政策提言2010年8月)と「所得税法における課税単位の研究~主として所得税法56条の解釈について」(大坂公恵、平成16年度金沢学院大学大学院修士論文)も参照

<契機>
 ・16日に閣議決定された来年度の税制改正大綱で成年扶養控除が大幅に縮減され、どうして就職できない子どもを必死で支えている家族を苦しめるようなことをするのか(それでなくても弱くなっている家族をさらに弱くするのか)と大変残念に思ったこと、それと、過日読み終えたアンデルセンの本で彼が家族手当を妻の口座に振込む意義を強調するのを読んだとき日本の税制等は世帯単位なのでそのようなことは無理だろうと思っていたが、財務省のHPなどを見ると日本は個人単位税制の国であると書かれておりそれがとても信じられなかった(「世帯主」しか相手にしない日本がどうして「個人単位」なのか?)こと、その2点から、日本の税制などで「家族」や「個人」がどう扱われているのか知りたくて「課税単位」に関して、ネットで入手できた論文をいくつか読んでみた。
 ・読んで思ったのは、日本は戦前の家族制度を否定しないといけないため、実態も国民の意識も伴わないのに建前上は無理矢理「個人単位」としたが、その実施は無理なので、実質の部分では配偶者控除などを活用して「家族単位」的なものとした、しかし、アンデルセンの言う「女性革命」の中で左右両勢力からその中途半端さを攻撃されている、のではないかということだ(もちろん、課税単位と家族制度は直接の連関はなく、個人単位とされている他国でも世帯に対する考慮はされているのであるが)。
 ・これは、「建前と本音」という大きなテーマの一つであるとともに、社会保障改革の切り札とも言われている給付付き税額控除の導入においても大事な論点であり、また、成年扶養控除の縮減の伏流にもなっているので、真剣に考え、広く論議しないといけない問題だと思った。
 ・私自身は、名実ともに「世帯単位」の制度に組み替えて、「国が家族を支援する」ということをもっと明確に打ち出した方が良いと思った(n分n乗式、世帯単位の税額控除など)。
<概要>
(鎌倉論文から)
 ・「昨年の経済白書は、日本は税による再分配効果がOECDで一番低くその効果も高齢者に偏っていること、現役世代の再分配効果を高めるため給付付き税額控除の導入を検討すべきことを述べている」
 ・「課税単位は、個人単位と世帯単位(夫婦単位と家族単位)に分類、世帯単位はさらに合算非分割と合算分割に、合算分割はさらに均等分割(2分2乗)と不均等分割(n分n乗など)に分類される」ここで、日本、イギリス、スウェーデン等は個人単位、アメリカ、ドイツ等は個人単位と均等分割の選択制、フランスはn分n乗とされる。
 ・「個人単位課税は個人間の公平性が確保され、結婚や配偶者の就労に中立的だが、世帯間の公平性が阻害、世帯単位課税はその逆」「70年代以降多くの国が世帯単位から個人単位に移行」
  ←ここは納得できなかった(日本(個人単位?)が配偶者の就労に中立的だと考える人は余りいないのではないか、また、シャウプ税制時から個人単位を導入している日本はその優等生ということになる(がとてもそうは思えない))が、次の「しかし実際の各国の制度は多様で、純粋な個人単位や純粋な世帯単位の国はない」の記述に至り納得した。日本は名目「個人単位」でも実質は(大坂論文が示唆するように)「世帯単位」なのだと思う。ただ、私は「世帯単位」の方が家族を支援するというメッセージを明確に打ち出せると思うし、n分n乗など婚姻や出産にインセンティブを与える制度設計もできると思うので、この際、名の方を改めるべではないかと思った。
(その他)
 ・鎌倉論文のメーンは、上記に続く「世帯に対する負担の調整」など給付付き税額控除に連なる部分であり、大変簡潔、明瞭にまとめられており、素人ながらすばらしい論文だと思った。
 ・また、東京財団政策提言にも個人の資格で参加され、給付付き税額控除について大変有益な知見を提供している。(東京財団の他の論文も力作揃い。ただ、本年8月に出されたこの政策提案では、民主党のマニフェストや政権交代後初の昨年の税制改正大綱の記述などから、給付付き税額控除の一層の前進を展望してのものだったが、今年の税制改正大綱の記述は明らかに昨年より後退し、政権の目指す家族像、社会像が見えないものになっており、何ら参考にされなかったのではないかと、大変残念)
 ・大坂論文は、所得税法56条(事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例)の限定解釈を主張される前提として「担税力をどのような単位で捉えるべきか」を考え「課税単位」の考察をされているのであるが、この部分だけでも読むに値すると思う。
 ・まず、昭和36年9月6日の最大判がユニーク。給与所得と事業所得は妻の協力があって得られたとする納税者がその半額を妻の所得として申告し、それに対する税務署長の更正決定等の取り消しを求めたもので、「税務訴訟上男女の実質的平等を主張した最初の訴訟ではないか」とする(判決はそれには応えていないが)
 ・また、「ボーリス・ビトカーが租税の公平性と結婚中立性について(1)累進制(2)等しい所得の夫婦に対する等しい税負担(3)婚姻中立的税制の三者は両立し得ないことを指摘している」と述べ、要は、国民がどの価値を優先するかという問題だと述べているのは、何となくわかる。だからこそ、しっかり交通整理された実りある広範な議論が必要なのだろう。
 ・いずれにしてもこれらの論文(集)は大変役に立つ、価値あるものだと思った。以上  

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2010年12月25日 | 法律、ルール | こめんと 0件 | とらば 0件 | とっぷ

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