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4月 孤独なボウリング~米国コミュニティの崩壊と再生~

(著者)ロバート・D・パットナム (訳者)柴内康文 (柏書房)
<読んだ経緯>
・昨年読んだ知事の講演録で、遅ればせながらと言うか、恥ずかしながらと言うべきか、ソーシャル・キャピタルに関心を持ち、以来、関係する小文をいくつか読んできたが、今回はいい機会なので、既に古典の趣のあるこの大作に挑戦することにした。(高価なため図書館で借用)
・3月に読み始めたが、700ページ近い大著のため、結局4月までかかってしまった。しかし、それだけの手間と時間をかけるに値する良書であった。
<序論 第1章米国における社会変化の考察>
・ソーシャルキャピタル(社会関係資本)の定義等を行い、「一般的互酬性によって特徴づけられた社会は不信感渦巻く社会よりも効率性がよいこと、社会関係資本の分類で特に重要なのは結束型のそれと橋渡し型のそれであること、本書ではアメリカにおけるその衰退と、しかしながら、それは再生可能であることを述べる」旨記述
<第2部 市民参加と社会関係資本における変化>
「第2章政治参加」「第3章市民参加」「第4章宗教参加」「第5章職場でのつながり」「第6章インフォーマルな社会的つながり(この中に書名にもなった「孤独なボウリング」の記述がある。メジャースポーツの中で唯一ボウリングが何とか衰退を免れているが、それでさえもリーグボウルからボウリングアロン(非リーグボウルの意味で、仲間内でインフォーマルに行うものも含む)への変化が顕著という意味)」「第7章愛他主義、ボランティア、事前活動」の各章において、(少々の揺り戻しはありながらも)20世紀の後半1/3がその前の2/3に比べいかに参加率等が落ちてきているか記述している。
「第8章互酬性、誠実性、信頼」
「社会関係資本の試金石は一般的互酬性である。これは、既にトクヴィルが指摘しているように、理想主義的な無私無欲からではなく、正しく理解された自己利益の追求からくる(信頼し合うコミュニティは「取引コスト」が削減できる)もの。厚い信頼でなく薄い信頼」「60年代から社会的信頼の低下が始まり、逆に紛争解決費用(取引コスト)は増加している」
「第9章潮流への抵抗?小集団、社会運動、インターネット」
「この3つは、今までの衰退に対する重要な逆転現象が認められるが、それが他の社会関係資本の衰退を補うものではない。また、全部の社会関係資本が衰退しているわけではなく、その場限りの、特定の目的を持った、自己中心的なものに置き換わっていることが問題、違った人がいること(多様性)が大事だが、それが消えつつある。しかし、インターネットには期待しており、だからこそその持つ欠陥(①デジタルデバイド、②伝わる非言語的情報が対面に比べ圧倒的に少ないこと(対人的な信頼と協力を抑制)、③サイバーバルカン化(小国分裂化)、④素敵な電話になるのか(能動的)、素敵なテレビになるのか(受動的)不明なこと)すれば、コンピューターコミュニケーションが対面的コミュニケーションの補完物となり、社会関係資本の低下を補う可能性がある。
最期に、
<第3部なぜ?>
「市民社会を殺したものは何か?各種要因がそれぞれ寄与しているが、特にテレビの影響と世代的変化が大きい」
<第4部それで?>
「社会関係資本の減少は認められるが、それがどういう意味を持つのか(個人、コミュニティ、国全体に対して有益な恩恵をもたらすのか)。もたらすのである」「第1に市民が集合的問題解決をより容易にすることを可能とする(ジレンマの解決)、第2にコミュニティがスムースに進むための潤滑油になる(取引コスト)、第3に人々が自らの運命がたくさんの繋がりを持っているということへの気づきを広げる(よい性格特性の形成)、第4に目標達成を促進するのに役立つ譲情報の流れるパイプとして役立つ(繋がりを通じて仕事を手に入れる)、第5に心理学的、生物学的プロセスを通じて個人の生活を改善する(トラウマにうまく立ち向かう)」次に、有名な14の社会関係資本のインデックスを示し、それで全米各州の社会関係資本を測定する。そして、各州の社会関係資本は、
 ・「教育と児童福祉」との関係では、「キッズカウント指数(小児貧困率等10項目)」「学校の教育達成指数」「テレビの視聴時間」「殺人率」「好戦率」と相関または逆相関がある。
 ・「経済的繁栄」との関係では、著者は相関に直感的確信を持っているが全体的にまだ途上のため本書では明確な判断は控えている。
 ・「健康と幸福感」との関係では、「公衆衛生状態」「死亡率」と相関または逆相関がある。
 ・「民主主義」との関係では、(独立戦争以来の中間団体の評価に対する全く異なる立場があるものの、社会関係資本は)政治に対する外部効果と参加者自身に対する内部効果の2通りの仕方で貢献している。「公共政策の革新性」「脱税件数」などと相関、逆相関の関係にある。
「第22章社会関係資本の暗黒面」では、社会関係資本が、「自由」「平等」「友愛」と相容れないのではないかという疑義について検討し、トレードオフの関係にはないこと、特に橋渡し型社会関係資本とは正の相関があることを述べる。
<第5部何がなされるべきか?>
 以上の分析に立って、ともに行動することにより社会関係資本を豊かにし、市民的に創造的になることができると呼びかけている。行動の鍵となる領域は、若者と学校、職場、都会と都市デザイン、宗教、芸術と文化、政治と政府であるとし、それぞれについて呼びかけを行っている。
<感想>
・現在行われている地域力再生等の施策が「地域社会でソーシャルキャピタルを豊にしていく」という目的に向けられた、こんなにも豊かな背景を持ったものだったのか、ということがよくわかり、知事のの先見の明に感心するとともに、自分たちもがんばらなければならないと思った。
・なお、本書は、引用する統計データが極めて豊富で説得力に富んでいる。以前読んだ内閣府の委託調査では、日本ではソーシャル・キャピタルを計測する、あるいは地域比較等のできるデータがあまりないとのことだったので、彼此の違いや社会と協働しながら発展する(敏感な)統計制度の必要性について考えさせられた。

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2010年04月27日 | ソーシャルキャピタル、ガバナンス | こめんと 0件 | とらば 0件 | とっぷ

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