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5月 高齢者介護とジェンダー:家族支援によるジェンダー変革の可能性

(著者)下夷美幸(法政大学助教授、国立女性教育会館研究紀要vol7(03.8))
<読んだ経緯>
・「応答する国家」「福祉政治」関連で検索中にたまたま発見。著者の問題意識と若干異なるが、福祉の再構築を考える上で家族内介護や現金給付に対する評価は欠かすことのできない論点かと思い読了。よく整理されていて勉強になる論文だった。
<ケアワークをどのように位置づけるか>
・「N・フレイザーは、ポスト産業社会では、男性稼ぎ手に妻子を扶養できる賃金を提供することは不可能で、普遍的稼ぎ手モデル(ケアサービスを国家が提供し、女性就労を促進する)かケア提供者等価モデル(国家が家庭内のケアワークに手当てを支給することでケアの価値を高める)が考えられるが、いずれにも短所があり、どちらも男性のケアワークへの参加を要求しないので、第3のモデル普遍的ケア提供者モデル(男性のケアワークへの参加を要請するを提示する」
<日本のケアワークの分配状況>
・「97年経企庁「無償労働の貨幣評価」では、91の無償労働は99兆円、GDP21.6%でその85.3%を女性が担当。96の推計では男性がわずかながら増えているが、依然男女差は大きい」
<介護保険の家族介護への影響>
・「現行介護保険は個人単位の制度として設計。要介護認定の段階、事業者との契約の段階で家族介護の状況は判定に影響しない。家族介護に給付されることもない」
・「介護保険で介護の外部化が進んだが、認定を受けた2割は保険を利用せず、その半数が「家族で十分」。都調査で日常生活で常に世話を受けている高齢者の32.6%が保険申請を行っておらずその半数が「家族で十分」」
・「今後の見通しについても、高齢者の意識調査などから、女性による家族介護は今後も続く」
<家族介護支援の検討>
・「措置制度の時代、個人は家族の中にあり、国家は家族と向き合ってきた。介護保険は、個人単位の制度設計がされたが、家族を無視したため、家族の中の個人の状態はそのままである」
・「一方、育児支援では、国家は父親の育児参加を促している。これは予想を上回る少子化の進展による国家の危機感に基づく」
・「既に家族をめぐっては、一方で個人主義の徹底による家族の解体(私化・個人化)、他方ではDV防止法に見られるような家族の公化・憲法化が同時に進行しており、公私の境界は揺らいでいる」
・「では介護分野で国家は家族にどう関わるべきか。これについては「応答する国家」に期待したい。応答する国家が機能するためには、当事者の意向を国家への要請として引き出す仕掛け、チャンネルが必要」
・「具体的には、現金給付が重要。同時に、福祉専門職が家族や個人にアプローチし、介護のジェンダー関係の是正を図っていく方向がよい。ドイツでは、適切な介護が確保されていることが現金支給の要件で、介護保険設計時の厚労省研究会でも前向きに検討されていた。現行制度でも「家族介護慰労金」があるが、限定されたものでありケアワークの社会的評価という面からは問題が多い」
・「現金給付の制度化により女性がケアを押しつけられるおそれもあるので、「ケアしない自由」を保障する環境等整備が重要。家族介護の評価を上げることは介護労働の市場価値を上げることにもつながる(ケア(労働に就く)自由)。

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2010年05月03日 | 福祉、雇用 | こめんと 0件 | とらば 0件 | とっぷ

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