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7月 ポパー

(著者)川村仁也(清水書院「人と思想」)*90年4月10日第1刷発行
<読んだ経緯>
・「開かれた社会の哲学~カール・ポパーと現代」を読み、ポパーの思想が21世紀に最も重要な思想の一つである感じはわかったが、内容がよくわからないため本書を読んだ。簡単な伝記、解説書かと思ったが、手強かった。
<Ⅰイギリス定住までの歩み~思想を育んだ時代背景>
・12年にウイーンに生まれたポパーが1大戦を通じフロイトやマルクスの理論に出会い、やがてそれらが「批判的態度」と相容れないことがわかり離れていく様子が描かれる。「ポパーの得た教訓は「私は私が知らないと言うことを知っている」というソクラテスの箴言であった」
・2大戦中ポパーは「マルクス主義に反対する内容のものは発表する気にならなかった。ヨーロッパ大陸で社会民主主義者たちは、依然として圧政に抵抗している唯一の政治勢力だったから」が、「ヒトラー・スターリン協定で自説に確信を持ち「歴史法則主義の貧困」と「開かれた社会とその敵」の執筆に取りかかる」(しかし、出版を断られた)
<Ⅱ科学の論理~科学とは何かを求めて>
・「ポパーが驚いたのはフロイトやマルクスに共通している見かけ上の説明能力の強さ、どんな反証が出てきても自説が絶対揺らがないと言う自信」
・「ポパーは科学的身分の判定基準を反証可能性に求めた」
・「ヒューム問題(これまで観察されたカラスはすべて黒いという陳述からすべてのカラスは黒いと言えるか)に対して、反証がないという限りにおいて真であると推測する」
<Ⅲ「歴史法則主義」~マルキシズムへの反旗>
<Ⅳ開かれた社会~先哲たちの犯した過ち>
・「「歴史法則主義の貧困」で主張されているように、普遍法則と初期条件から結果が予測されるのであり、そしてそのような普遍法則が歴史においては成立しないのなら、もともと予言など歴史においては不可能なのである、にもかかわらず「歴史法則主義」的思考が人々のあいだに根強くあることが、モラルの問題として極めて深刻だとポパーは感じた」「社会科学者ないし社会哲学者は個人を歩としか見ず、偉大な指導者、民族、階級、理念などを見出す」「開かれた社会の敵というのは、プラトン、ヘーゲル、マルクス」
<プラトン論>
・「本質主義がプラトンの立場。プラトンのイデアは完全、真、実在、善であり、変化は不完全、偽、非実在、悪」「ポパーによるとプラトンはマルクスの段階論、史的唯物論、エリート論(階級論)の先駆者」「プラトンは階級の廃止によってではなく有力な支配階級の強力な支配によって解決しようとした」「そのため、支配階級には経済的利害からの解放、私的所有の廃止、家族の廃止等が求められる」「プラトンの歴史法則主義はこうして全体主義につながる」「プラトンは賢者が指導支配し無知の者は従うべきとするが、ポパーは抑制と均衡の理論を提案する」←ジェイコブズのプラトン理解よりもポパーの理解に共感。プラトンに完全主義→全体主義を感じる。
<ヘーゲル論>
・「ヘーゲルは現代のすべての歴史法則主義の源であり、ヘラクレイトス、プラトン、アリストテレスの直接の承継者」「ヘーゲルのイデアは流転する事物の中にある、運動は理念に向かう、発展の一般法則は弁証法的進歩の法則」「ヘーゲルにとって、存在に現象することを欲するすべての民族は歴史の舞台への登場、他民族との闘争によってその個性と魂とを主張せねばならず、闘争の目的は世界支配である」「左翼はヘーゲルの民族間の戦争を階級間の戦争に、極右は人種間の戦争に置き換えてヘーゲルに追随」
・「矛盾が発見されたなら、科学者はそれを排除するためあらゆる試みをしなければならない。ヘーゲルのように矛盾を容認するならそこからどのような帰結も出てき得るのであり一切の科学は崩壊する」「ナショナリズムは、理性や開かれた社会への反逆と強い親戚関係をもっているが、長らく消滅していた。ヘーゲルの任務は、自由、平等などの諸理念をねじ曲げ、それを閉鎖社会の陣営に送り返すことであった」
<マルクス論>
・「ポパーは、マルクス主義はファシズムと共通した面があると言うが、マルクス主義の人道主義的衝動は疑い得ないものであったし、真理探究におけるマルクスの誠実さはマルクスの後継者と峻別されるものであった」「予言者としてのマルクスの失敗は彼の歴史法則主義の貧困にあったが、マルクスの信仰は基本的には開かれた社会へのものであったと私は信じる」
<ポパーの姿勢>
・「ソクラテスの合理主義こそポパーが支持するもの」「人を幸福にするのが愛情であるというのは危険な政治思想だ、幸福にするというとき何らかの高次の価値といったものが想定され、それが押しつけとなるからで、地上に天国を作ることが地獄を作ることにつながる」
<感想>
・正直(難しくて)理解できないことの方が多かったが、ポパーの思想の価値の一端は理解できたと思う。俗な理解ではあるが、「批判的な議論に耳を傾け経験から学ぼうとする姿勢」「君の方が正しいかも知れない、私が間違っているかも知れない、とにかく努力して真実に近づこう」という姿勢」が一番大事なのだろうと思う。そして、それは「対話(ダイアローグ)とは一切の想定を排除すること」というボームの主張にも連なる、世界を良くする唯一の方法のように思う。

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2010年07月31日 | 歴史、哲学 | こめんと 0件 | とらば 0件 | とっぷ

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