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8月 最低所得保障

(編者)駒村康平(岩波書店)*10年4月23日第1刷発行
<読んだ経緯>
・生活苦に陥っている人が増えていることを日々実感する一方、ばらまき的としか思えない社会政策が進められる中、今まで買いためた生活保障関係の本をまとめて読んだうちの1冊。
・若手研究者たちによる熱のこもった一般向け論文集で、確かに勉強にはなるが、すべて政策課題であり、社会実験のような試行錯誤の中でしかその実効性は検証できないものであるが、今の政治状況や国民の意識状況を考えると社会実験は難しいと思う。何やかや言われながら、ばらまき的施策が競われるしかないのかと考えるとむなしくなる、内容が熱のこもった本だけにそんな気持ちも抱かせられる。
<序章、なぜ最低所得保障なのか>
・「社会保障制度についての議論が盛んになっているが、議論は、不公平感、不信感の域を出ていない」
・「本書では、整合性(制度間で給付水準に矛盾がない)と包括性(重畳的にカバーする)の確保という観点から、現行制度の検証とあるべき姿の提示を行っていく」
・「日本の貧困率は世界的に見て高いが、世帯類型により異なることも注意。高齢単身女性世帯、母子世帯、失業世帯等」
・「最低所得保障(公的年金、公的扶助、課税最低限、最低賃金)の国際比較で、日本は、公的扶助は平均より少し上、(最賃や年金は公的扶助を上回ることが望ましいが)基礎年金は唯一公的扶助より低い、課税最低限と公的年金が同水準、という特徴」
・「上記国際比較はすべて「個人単位」に換算したもの。あるべき制度は、個人単位、世帯単位どちらで考えればいいのかが課題」
<第1章、最低生活保障実現に向けた生活保護>
・まず、理想主義的な理念(条文)から出発した日本の生活保護が「機能不全」「関係者でもわからない」と言われるようになった歴史が詳しく述べられる。
・結局、以前どこかで読んだ「日本の生活保護は、入るのは極めて困難だが、一度入ったら至れり尽くせりで出るインセンティブが働かない」ということが最大の問題か。同時に、生活保護の理念(のみ)に忠実に努力してきた政策の「縦割性」の悲惨な結末と言うべきか。いずれにしても、国民の多数は生活苦と隣り合わせでありながら、必死に頑張っているという現実を前提にした「整合性」のある制度にすべきなのだろう。その意味で、政権交代後「生活保護の母子加算の復活」が善政のように語られたことのむなしさを痛感するし、このような感情的な政策議論しかなされないことへの不安が募る。
<第2章、高齢者の最低所得保証>
・国民年金の給付額は保護基準と密接に結びつけられていた(基礎年金化後も、夫婦世帯では保護基準を上回る)が、公的年金を受けながら保護を受給する高齢者の割合も増加
・「国民年金を最低生活費の給付としての最低所得保障に位置づけることは原理的に困難」
・「新たな年金制度は、個人単位の所得比例年金と、夫婦単位の最低保障年金を組み合わせたものであるべき(厚生年金と国民年金の一本化、3号被扶養者の廃止+育児期間の不利の防止、夫婦単位の最低保障年金の創設等)」
<第3章、母子世帯の最低所得保障>
・「日本の特徴は、死別(遺族年金)か離別(児童扶養手当)かという理由によって制度が異なること、前者は削減なし、後者は一貫して抑制」「その結果、後者の生活保護依存度は前者に比べて高い(2%対10%)し、保護廃止率(就労等による脱出)は低い」
<第4章、障害のある人に最低所得保障を>
・「障害手当等の前提となる「障害認定」で、諸外国は稼得能力の減退度合で認定し、日本でも3級まではそうなってるが、最も重要な1,2級は日常生活能力の制限度合となっており、現実的でない。その結果、日本では、勤労収入の有無・額と障害年金の有無・額に関連性がほとんどなくなってしまっている状態」
<第5章、雇用保険制度における包括性~被正規労働者のセーフティネット>は、失業者に占める雇用保険受給者の割合が低下の一途をたどり、2割台まで落ち込んでおり、その役割が著しく弱体化しているなど、今までよくなされている議論と同じ内容なので省略。<第6章、最低賃金と生活保護の整合性の再検討><第7章、課税最低限と生活保障>も、それぞれ勉強になったが、特記事項なし
<第8章、最低生活保障の理念を問う~「残余」の視点から>
・「今の日本は、国民皆保険が失敗しそれが「巨大な排除の装置」(逆機能)に陥っており、公的扶助がそれを補完する役割を与えられている」「ベバリッジ報告などでは、公的扶助は社会保障の発展につれて縮小すべきものとされていたが、包括性の使命を帯びた制度として積極的な位置づけを与えられるべき」
・「これまで貧困を代表するものと扱われてきた「被保護者」は、今やその周辺にあるもっと大きな貧困層の中で羨まれ、批判される存在となった」
・「住所や国籍(ハンナ・アレントのいう権利の足場)を持たない人々の保護は、福祉が社会的弱者のための救貧的なものから「普通」の市民の社会的資源へと社会的意味と機能を変化させる中で、むしろ弱まってきたことに注意すべき」
<終章、最低所得保障制度の確立>
・最後に、以上の分析及びベーシックインカム、給付付き税額控除の検討を踏まえ、生活保護をベースとした政策提言がなされているが、内容は省略する。以上

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2010年08月22日 | 福祉、雇用 | こめんと 0件 | とらば 0件 | とっぷ

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