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9月 自治体職員のための政策法務入門2 市民課の巻

(監修)出石稔(執筆)松村亨(出版)第一法規 *H20.10.10初版
<読んだ経緯>
・相談業務に役立つ知識が得られる政策法務シリーズの1冊。いわゆる「消えた高齢者」問題で、戸籍と住民基本台帳の関係、存在価値などが問題になっていることもあり「福祉課の巻」「環境課の巻」に続いて読了。他と同様大変勉強になる良書であった。
・冒頭に「市民課を取り巻く課題等」として、①住基ネット訴訟、②住民基本台帳の大量閲覧対策、③請求者等の確認の厳格化、④住民異動の不受理の是非、⑤身分照会への対応(これは、京都市が被告となった著名な最判以降、実務的には決着している様な気はするが)、⑥出生届の取り扱い、⑦市民サービスの向上、が上げられ、③、④、⑥、⑦などに関する興味あるエピソードが取り上げられている。
<主なエピソード>
(1)戸籍制度と住民基本台帳制度
 ・どうして婚姻届(戸籍)と転入届(住基)の2つの届けをしなければならないのかという問いから、両制度の沿革、意義と、法定受託事務(戸籍)と自治事務(住基)の区別等についても言及
 ・「戸籍法の起源は飛鳥時代に遡るが、現在では個人の状況を公証するものになっている」「住基制度は、居住関係の公証を目的とした住民登録制度に、税、選挙等の各種住民登録制度が統合され、昭和42年に発足」「この2つの制度を繋ぐものが「戸籍の附票」」
 ・「日本のように夫婦、子どもを一つの戸籍に記録している国は少なく、ほとんどの国では個人単位の台帳で記録」←年金問題や各種福祉施策を考えると、これから一番大事なのは「個人勘定の設定」だと思うが、現在の中途半端な戸籍や住基制度ではそれを実現する足かせになってしまうと感じるので、この部分は興味深く読んだ。著者は、個人単位の制度にすると「家族の状況」の把握が難しいと述べている。そのとおりだとは思うが、現状の戸籍や住基ではたして「家族の状況」は正しく把握できているのだろうか?
(2)住民が不安を感じる宗教団体信者の転入届の拒否
 ・最(一小)判平成15年6月26日の紹介(住居を定めた事実があれば法定事由以外で転入届を受理しないことは許されない)を中心に展開
 ・転入届の性質について「届出ではなく申請であるという判例もある。転入届には受理・不受理の概念もあるが要件の整った届出は受理しなくてはならない」
 ・見過ごせないのが、住民の不安に対して「宗教法人の所管庁である県知事に適正な監督を求めたり・・」と書かれていること
(3)民法上の行為能力と行政上の行為能力 
 ・ 外国人登録法16歳以上、国籍法15歳以上、自動車運転免許18歳以上等、旅券法、登記法は未成年も可であるなど、法令ごとにいろいろ(区区で)あるものだと分かった。
(4)命名をめぐる基準
 ・人名用漢字にない文字であることを理由になされた不受理処分が許されないと判断された判例(最(三小)決平成15年12月25日)が紹介(常用平易である文字を規則で定めないのは違法)されている。
 ・「戸籍法上市町村は形式的審査権しかないが、命名権の濫用になると考えられる場合などは実質的判断をしなければならない」
(5)民法772条の解釈
 ・「772条は生まれた子どものための規定(戸籍上父親のいない事態を減らす)」「平成19年法務省通達で離婚後300日以内に産まれた子も医師の証明があれば離婚後に妊娠したと取扱われる」「法文も「推定」なので問題ない」「法務省通達は一般的には妥当な解決をもたらすが、子ども自身のためにならない場合もあるのではないか」
(6)法定受託事務の意味
 ・「法定~は本来的には国の事務とされているので国の関与が認められている(自治~は4類型、法定~は7類型の関与)」「法定~であっても行政事件訴訟も国家賠償訴訟も自治体等が被告となるが、権限法(国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律)で訟務検事の支援を得られる(可能性がある)」
(7)第三者からの住基台帳の個人情報請求
 ・「住基台帳制度は元来居住関係の公証だが、プライバシー保護との関係で公開が徐々に制限されてきた(が、弁護士や債権回収会社は正当な理由のあるものとして閲覧可能)」
 ・「債権回収の受託は、従来弁護士にしか認められなかったが、バブル崩壊後の必要性から、債権回収会社(法務大臣の営業許可が必要)にも認められることとなった」「同会社は限定された業務のみを行うが、不良債権回収だけでなく府県や市町村の債権回収も可能」
<感想>
・やはり戸籍、住基台帳、住基ネットが一番興味がある。戸籍や住基は不十分性はあっても、それなりに実態把握をしてきているので、これをベースとした(私としては個人別がいいと思うが)勘定制度の創設がこれからの社会に一番必要な(ベースとなる)仕組みだと思う。
・また、著者の述べる「市民課職員は、所管する法令だけでなく、行政手続・個人情報保護・情報公開の各法(条例)や、隣接法令についての素養を持つ必要がある」と言う記述は、全ての公務員に当てはまる大事な指摘だと思う。

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2010年09月19日 | 法律、ルール | こめんと 0件 | とらば 0件 | とっぷ

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